労働者派遣制度の改革案を検討してきた厚生労働省の研究会は20日、派遣労働者と派遣元との雇用契約の期間に応じて、派遣先で働ける期間を定める新制度への移行を提言する報告書をまとめました。
具体的には、派遣先での業務内容に関係なく、派遣元との契約が雇用期間の定めがない無期雇用の労働者は、派遣期間に上限を設けず、雇用期間に期限のある有期雇用の場合は最長3年とすることを求めたものです。
一方、現行制度で定めている派遣先での業務内容に応じた派遣期間の規制については、撤廃するよう提言しました。
現制度は、ソフトウエア開発や通訳など26の専門業務に限って派遣期間の上限を設けず、他の業務は最長3年に制限しています。
厚労省によると、派遣労働者は2011年6月時点で137万人、このうち派遣元と無期雇用契約を結んでいるのは2割程度です。
研究会の提言は、派遣労働者の雇用が安定的かどうかで派遣期間を分けることで、派遣元に派遣労働者の無期雇用契約を促すことを狙うものです。
今は、ある仕事を派遣労働者に任せられる期間は、途中で働き手を代えたとしても原則3年までとなっており、一方、パソコンで文書やグラフをつくる「事務用機器操作」や通訳など26の専門業務であれば、例外的にずっと派遣労働者に任せてもいい仕組みとなっています。
これを、労働者が派遣元に無期雇用されてさえいれば、どんな仕事でもずっと同じ派遣労働者を使い続けられることができるルールに変えるものです。
また、派遣元との契約が有期雇用でも、派遣先での労使合意があれば、働き手を3年ごとに代えることを条件に、その仕事をずっと派遣労働者に任せることができるようになります。
これまで厚生労働省は、正社員の仕事を守るために「ずっと続く仕事なら正社員にさせるべきだ」との考え方がありました。
しかし研究会は、すでに正社員からパートやアルバイトに置きかえる動きが進んでいることなどから、派遣に過度な規制をかける必要性は低くなったと判断したようです。