不当な賃金の減額

定年後の再雇用で、正社員時代と同じ仕事をしているのに、賃金が減ったのは違法だとして、横浜市の運送会社で働くトラック運転手の男性3人が、正社員との賃金の差額分計約415万円の支払いなどを求めた訴訟で、

東京地裁は13日、全額の支払いを命じる判決を言い渡しました。

佐々木宗啓裁判長は「正社員と同じ業務をさせながら賃金水準だけを下げるのは不合理で、労働契約法違反だ」と述べたそうです。

労働契約法は、2013年4月の改正で、雇用期間に期限がある社員と正社員との間で不合理な労働条件の格差を設けることが禁止されており、原告側弁護団によると、運送業界では、同様の雇用形態が少なくないが、定年後の再雇用を巡って同法違反を認めた判決は初めてだそうです。

 

判決によると、

61〜62歳の男性3人は、横浜市の運送会社で20年から34年間、正社員として勤務された従業員で、14年に60歳の定年を迎え、1年契約の嘱託社員として再雇用されたそうです。

仕事内容は、正社員時代と同じであり、賃金は3割前後減額らされたことによるものです。

訴訟で、同社側は「退職金も支給されており、再雇用で賃金が下がるのはやむを得ない」などと主張したが、

判決は、「同社の再雇用制度には、新規に正社員を雇うよりも賃金コストが抑えられるという側面がある」と指摘され、「同社の経営上、コスト圧縮の必要性があったとは認められず、不当だ」として、同社側の主張を退けたものとなりました。


弁護団は「不合理な賃金格差の是正に大きな影響力を持つ画期的な判決だ」と評価しており、 運輸会社は今のところ「コメントしない」としているそうです。

痛ましい社員募集

事業主が、公共職業安定所にて求人を行う求人票記載事項に関して、実態との相違により、何とも痛ましいことがおきています。

 

徹夜で約21時間の連続勤務をしたあと、自宅にバイクで帰る途中に交通事故死した20代男性の遺族が、男性の勤務していた会社を刑事告訴しました。

告訴した理由は、実際の過酷な勤務実態とは違う内容の「求人票」をハローワークに出していたことが、職業安定法に違反するというものです。

告訴したのは、東京都内の植栽会社に勤務していたAさん(当時24歳)の母親。

なお、この事故をめぐっては、Aさんの死亡から1年後の昨年4月、遺族が1億651万円の損害賠償を会社に求めて提訴し、現在も民事裁判が続いているものです。

Aさんは大学卒業後、ハローワークの求人で、商業施設などに観葉植物を飾り付ける植栽会社(本社・東京都)を知り、2013年10月から、アルバイトとして働き始めました。

勤務は、深夜・早朝に及び、残業時間は月130時間を超えるときもあるなど、過酷な労働環境だったそうです。
悲惨な交通事故が起きたのは、2014年4月。

Aさんは、顧客店舗の飾り付けのため、午前11時から翌午前8時まで、約21時間にわたって、仮眠も取らずに働いていました。

その後、原付バイクで自宅に帰ろうとしたが、午前9時ごろ、帰宅途中の道路の電柱に衝突し、脳挫傷と外傷性くも膜下出血で死亡しました。

Aさんの母が問題視しているのが、会社がハローワークに出していた「求人票」で、そこには次のような労働条件が記されていたそうです。

 

<新卒正社員募集>

試用期間なし・

就業時間 8時50分17時50分

・時間外 月平均20時間

・マイカー通勤 不可

 

ところが、Aさんの母の代理人弁護士によると、実際の労働環境は、これらの記載と全く異なっていたというそうです。

まず、Aさんは採用面接の際、求人票に書かれていた「新卒正社員募集・試用期間なし」という雇用形態ではなく、アルバイトとしての就労を求めらました。

ところが、正社員として採用することを口頭で告げられたのは、アルバイトとして働き始めてから半年後だったそうです。

また、求人票では、「就業時間8時50分  17時50分」、「時間外・月平均20時間」 と書かれていましたが、実際には深夜・早朝におよぶ不規則な長時間労働に従事させられ、1カ月の残業時間が134時間に及ぶこともあったということです。


さらに、「マイカー通勤 不可」という記載も事実ではなく、帰宅時間が鉄道やバスを使えないような時間になると予想される日は、原付バイクを使って帰るように指示されていたというそうです。

その結果、原付バイクでの通勤が常態化していたようです。

代理人弁護士は会見で、「これらの4点について、虚偽の労働条件の記載があったため、告訴した」と語っています。

刑事告訴の根拠としてあげているのは、「職業安定法の65条」です。

そこには、「虚偽の広告」をしたり「虚偽の条件」を示して「労働者の募集」を行った者は、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」に処せられるという規定がああります。

Aさんが勤めていた会社は、この職業安定法65条に違反したから、処罰を受けるべきだということです。


ただ、代理人弁護士が厚労省に確認したところ、職業安定法65条の罰則規定が過去に適用された例はないそうです。

 

「完全に死文化している」ということですが、今回の刑事告訴を受けて、初の処罰につながっていくのかが、注目されます。

業務改善プラン

「能力不足」は解雇無効。


「能力不足」を理由に解雇したのは不当だとして、ブルームバーグ東京支局の元記者の日本人男性が、同社に地位確認や賃金支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁の光岡弘志裁判官は5日、解雇を無効と判断し、請求を全面的に認めたものとなりました。

 

判決によると、男性は2005年11月に米金融・経済情報サービスのブルームバーグに中途採用され、09年12月以降、週1本の独自記事や、月1本の編集局長賞級の記事などを要求する「業績改善プラン」に取り組むよう命じられたものでした。

同社は10年8月、記事本数の少なさや、質の低さを理由に解雇しましたが、光岡裁判官は「労働契約の継続を期待できないほど重大だったとはいえず、会社側が記者と問題意識を共有した上で、改善を図ったとも認められない」と指摘し、「解雇理由に客観的な合理性はない」と判断したものです。

 

男性の弁護団によると、外資系企業を中心に無理な課題を設定する「業績改善プラン」の未達成を理由にした退職強要が相次いでおり、今回の判決はこの手法を経た解雇について無効と判断した初めてのケースとみられるということです。

 

弁護士も労働者?

残業代求め、常勤弁護士が提訴しました。

 

国が設立した公的法人日本司法支援センター「法テラス」が、常勤弁護士に超過勤務手当を支払わないのは違法として、法テラス八戸法律事務所の弁護士が、残業代など約109万円の支払いを求める訴訟を八戸簡裁に起こしたことが24日、分かりました。

法テラスによると、所属弁護士が超過勤務手当を求める訴えを起こしたのは、全国初だそうです。


訴えによると、この弁護士は八戸事務所が開設された2010年1月から常勤弁護士として勤務しており、今年3月までは所長も務めた人です。

超過勤務手当を求めたところ、法テラス側は、常勤弁護士が労働基準法上の管理職に当たり、拒否したとしています。


常勤弁護士の勤務時間は、就労規則で1日7時間30分と規定されていますが、弁護士は月約17時間の超過勤務があったと主張しており、訴状では11年11月分までの超過勤務手当を請求したものです。

同弁護士は「実際は名ばかり管理職で、残業代が出ないのは実態にそぐわない」と話しているそうです。

一方、法テラスの総務部長は「常勤弁護士は一定の職員を管理監督する立場と内規で明記している」としています。

 

弁護士であっても、労働者であるか否かという実態を、どう判断されるか今後の動向が見守られます。 

解雇は有効

経営破綻して会社更生手続き中だった日本航空から整理解雇された客室乗務員72人が、解雇の無効確認を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁でありました。

 

白石哲裁判長は「大幅に縮小される事業規模に応じて、人員削減を実行する必要性は極めて高かった」と述べ、解雇は有効と判断したうえで、原告の請求をすべて棄却したものです。

 

日本航空は、2010年1月に会社更生法の適用を申請し、11年3月末までにグループ全体で約1万6千人を削減することを盛り込んだ更生計画案を東京地裁に提出し、認可されました。

 

その後に希望退職を募ったが、「目標削減数に届かなかった」として、10年12月に客室乗務員とパイロットの計165人を整理解雇したものでした。

 

原告の客室乗務員側は、「更生計画の想定以上の利益を上げており、人員削減の必要はなかった」などと主張していたものです。

老齢加算廃止は合憲

老齢加算廃止は合憲。


70歳以上に上乗せ支給されていた生活保護の老齢加算の廃止は、憲法の保障する生存権を侵害するとして、東京都内の受給者11人が、足立区などを相手に減額決定の取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は、28日、廃止は合憲と判断し、原告側上告を棄却しました。

受給者側敗訴とした一、二審判決が確定したものとなりました。

老齢加算廃止をめぐっては、全国9カ所で同様の訴訟が起こされています。

最高裁の判断は初めてで、他の訴訟にも影響を与えるとみられます。

ホンダ雇止め訴訟

元期間従業員の請求棄却。 ホンダ「雇い止め」訴訟

ホンダの栃木製作所真岡工場(栃木県真岡市)で約11年間、期間従業員として働き、減産を理由に不当に雇い止めとされたとして、宇都宮市の男性がホンダに雇用の継続確認や損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、請求を棄却しました。

判決によると、男性は1997年12月から自動車部品の生産ライン管理を担当し、1〜3カ月の短期間で雇用を更新され、2008年12月末に雇い止めとなったものです。

この間、毎年1回、若干の空白期間が設けられていました。

 

渡辺和義裁判官は、男性が雇い止めに先立ち会社側から 「業績が低迷し減産は必至で雇い止めをせざるを得ない」 と説明され 「従前のような契約更新や、空白期間後の再入社は期待できない」 と判断し、雇い止めに関する契約書に「自らの意思で署名した」と認定したものです。

「男性が雇用継続を期待していたとは認めがたい」と結論付けたものとなりました。

「過労死」をめぐる労災認定事例

過労死の理学療法士について労災認定
昨年10月に急性心不全で亡くなった私立病院勤務の理学療法士の男性(当時23歳)について、横浜西労働基準監督署が過労死の労災認定の決定を行いました。
遺族側代理人の弁護士によれば、この男性は2010年4月から病院で働き始め、患者の治療計画作成・治療・リハビリなどの業務を担当していましたが、担当患者が増えたことに加えて、研究発表の準備等も行っていたことから、同年9月以降は非常に多忙となっていました。
男性は、早朝・深夜の時間帯に自宅等で研究発表のための準備を行っていましたが、病院側は「勤務ではなく自己研鑽」であるとして、その時間分の残業代は支払っていなかったそうです。
労基署では、研究発表の準備を労働時間として算定はしませんでしたが、これらの時間が男性の重い負担になったと判断し、労災認定を行いました。

うつ病で労災認定

うつ病自殺で労災認定がされました。
携帯電話会社の旧ジェイフォン(現ソフトバンクモバイル)の社員だった小出堯さん(当時56)が自殺したのは、過重な業務で発症したうつ病が原因として、妻典子さん(64)が国に労災認定を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は14日、遺族補償年金を不支給とした名古屋西労働基準監督署の処分を取り消し、労災と認めました。


田近年則裁判長は、堯さんがうつ病を発症する直前の4カ月間について「月100時間を上回る時間外労働をしていた」と認定し、「携帯電話に関する知識のない者が、開局に向けた準備を急ピッチで進めなければならないなど会社の体制は不十分で、業務は質、量的に過重だった」と指摘し、業務によりうつ病を発症、自殺したと認めたものでした。

自殺の原因が、業務内容や長時間労働との因果関係が立証された認定となりました。

過労死 認定

製薬会社サノフィ・アベンティスで開発の仕事をしていた男性(当時39)の突然死をめぐる訴訟で、東京地裁は10日、過労が原因だとした遺族の主張を認める判決を言い渡しました。

労災と認めず、遺族補償を支給しないとした三田労働基準監督署の決定を取り消したものです。

 

糖尿病治療薬の開発チームで管理職として働いていた男性は2001年、東京都杉並区の自宅で急死しました。

就労状態に不審を抱いた男性の母親は、06年に労災を申請しましたが認められず、09年に提訴したものです。

 

判決は、男性がプロジェクトの責任者として昼夜を問わず打ち合わせに追われ、平日の帰宅後や休日も仕事をする日が多かったと指摘し、死亡直前は1日14時間以上も働いており、「元々患っていた軽い冠状動脈の病気が急に悪化し、心臓性突然死に至った」ものと結論づけました。
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過労自殺、遺族の勝訴確定

光学機器大手ニコンの埼玉県の工場に派遣されていた男性が自殺したのは劣悪な勤務環境でのうつ病が原因として、遺族が同社と名古屋市の業務請負会社に、計約1億4,000万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷は、1日までに両社の上告を退ける決定をしました。

約7,000万円の支払いを命じた二審東京高裁判決が確定しました。

 

原告は1999年3月に23歳で自殺した青年の母親です。

二審判決は、一審東京地裁判決同様、自殺原因を過労によるうつ病とし、派遣元と派遣先双方の注意義務違反を認定たものでした。

「製造業への派遣を禁じた当時の労働者派遣法に反していた」とも指摘しています。

請負会社は「うつ病の発症から自殺までの期間が短く、結果回避の可能性が低かった」と主張し一審判決は減額理由としましたが、二審判決は「過失の重大性と直接関係がない」と否定した結果となりました。

二審判決によると、男性は窓や休憩スペースのない部屋で製品検査業務を担当し、不規則な長時間勤務が続き、退職を申し入れたが認められず無断欠勤となり、寮で自殺したものでした。

 

見切り弁当裁判

値下げの加盟店側、一部勝訴へ。

コンビニエンスストア最大手のセブン−イレブン・ジャパンが、フランチャイズ契約を結んだ加盟店に対し、賞味期限の迫った弁当などの値下げ販売をさせないようにしたのは違法などとして、福岡市の元加盟店オーナー(57)が、同社に約2640万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は15日、請求を一部認め、同社に220万円の支払いを命じました。

弁護団によると、フランチャイズ契約をめぐる訴訟で、同社に賠償を命じた判決は初めてです。
同社は、契約で賞味期限切れ商品の廃棄や、万引き被害による損失は加盟店側の負担とする一方、賞味期限間近の弁当などを値引く「見切り販売」を認めていなかったものです。


田中哲郎裁判長は、同社の担当者が見切り販売をやめるよう指導したことについて、販売価格を拘束しており、独禁法違反に当たると指摘し、「値下げすれば利益を上げることができた」として、差額分の損害を認めたものです。

加盟店から経営指導料などとして徴収するロイヤルティーについても、「計算方式が一般的な方法と異なることについて、加盟店側に理解できるよう配慮する必要がある」と述べ、説明義務違反を認定したものとなりました。

判決によると、原告は1997年に福岡市博多区で開店、2005年から弁当などの値下げ販売を始めましたが、担当者から値下げをやめるよう指導されていた経緯です。

原告は08年に店を閉め、見切り販売の制限をめぐっては、公正取引委員会が09年、独禁法違反に当たるとして排除措置命令を出しました。

同社は命令を受け入れ、値引きガイドラインを策定したものとなりました。

 

超過時間外労働

JR北海道に是正勧告です。上限超す時間外労働が原因とみられています。
JR北海道は7日、労使協定で定められた協議を経ずに、社員に上限を超える時間外労働をさせたのは労働基準法違反に当たるとして、札幌中央労働基準監督署から是正勧告を受けたことを明らかにしました。

勧告は7月21日付です。

勧告を受けた後に同社が実施した社内調査によると、過去3年間で延べ約450人が、1カ月の上限の45時間を超えて時間外労働をしていたものです。

同じ期間で延べ約100人が年間360時間の上限を超えて時間外労働をしていたことも確認されました。

札幌市の本社で記者会見した島田修総務部長は「以前にも同様の例があったとみられる。重大な違反を続け、深くおわびする」と述べ、時間外労働の管理を徹底するとしました。

 

 

雇止め訴訟

準大手ゼネコン、フジタのお話です。

同社で60歳定年後の再雇用を一時取りやめたことをめぐり、元社員2人が社員としての地位確認などを求めた訴訟で、大阪地裁は12日、請求を退ける判決を言い渡しました。

内藤裕之裁判官は「リーマン・ショックなどの影響で人員削減の必要性は高く、雇い止めには合理性がある」と述べたものです。

元社員2人は控訴する方針だそうです。

判決によると、フジタは2006年4月、60歳で定年退職した社員を最長65歳まで再雇用する制度を導入しました。

しかし、経営環境の悪化などから09年5月、制度の一時中止を労働組合に通告し、元社員の62歳男性の再雇用を1年で止め、また61歳男性を再雇用しなかったものです。

経営悪化が、合理的な雇止めの理由となり得るのか 、今後の動向が気になります。
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「名ばかり店長」が勝訴

コンビニの「名ばかり店長」が勝訴。
コンビニ「SHOP99」の元店長が、権限や裁量がないのに管理監督者とされ残業代が支給されなかったとして、未払い賃金や慰謝料など計約450万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁立川支部は5月31日、計約165万円を支払うよう運営会社「九九プラス」(本社 東京)に命じました。

同社は「主張が認められず残念。判決内容を確認し、控訴するか検討する」としています。

 

判決は、労働基準法で制裁的意味を持つ「付加金」20万円も認めており、記者会見した原告側の笹山尚人弁護士は「付加金が認められるのは珍しい。会社側が非常に悪質だと判断した結果だ」と話しています。

 

判決理由で飯塚宏裁判長は「取扱商品の決定権限がなく、出退勤も自由裁量がなかった」などとして、元店長が管理監督者には当たらないと判断しました。

判決によると、元店長は2006年9月に入社。

07年6月に店長になったが、9月にうつ病と診断され、10月から休職していました。

判決は勤務が長時間で不規則だったことなどから、うつ病を発症したと認定したものです。

訴訟を支援してきた首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「正社員で店長だったのに、極めて低賃金で使い捨てにされた。名ばかり管理職どころではない」と話したそうです。

解雇無効の判例

万世閣の解雇は無効、元従業員が勝訴。


北海道の観光ホテルチェーン、万世閣(洞爺湖町)を解雇された調理部顧問ら3人が、地位確認などを求めた訴訟の判決で、札幌地裁は25日、元顧問の解雇を無効と認め、慰謝料44万円と、解雇時に遡って月30万円の賃金を支払うようホテル側に命じました。

地位確認を求めなかった2人の元従業員についても、不当解雇だったとして、未払い賃金と損害賠償の計約770万円の支払いを命じました。

 

判決によると、万世閣は2008年10月、長時間労働を問題視する発言をしていた元顧問ら2人を「考え方が違う」などとして解雇。

09年11月には、労働組合脱退の働き掛けを拒否した1人を定年後再雇用しなかったものです。

判決は「解雇は権利の乱用。再雇用を認めなかったことも、組合活動を理由に会社から排除しようとした悪意のある違法行為。」と指摘されたものです。

万世閣は「判決内容を精査し、対応を検討したい」とコメントしています。

 

年金減額訴訟、原告敗訴

年金減額訴訟、早大の勝訴確定。 

元教職員らの上告が棄却されました。    
早稲田大学が退職した教職員らの年金受給額を減らしたことが許されるかが争われた訴訟で、最高裁第二小法廷は、元教職員ら145人の上告を退ける決定をしました。

基金の財政悪化などを理由に減額を認めた二審・東京高裁判決が確定したものです。

早大は2004年、段階的に受給額を減らし、08年度以降は最大で35%カットする年金制度に改めました。

これに対し、元教職員側は「減額は不当」として制度改定前の年金額を受け取る権利の確認を求め、07年1月の一審・東京地裁判決は、大学財政全体では健全だったとして、元教職員側の請求を認めたものでした。

しかし、09年10月の二審判決は、年金を負担する人が減る一方で受け取る人が大幅に増えたことから、92年以降は給付額が収入額を上回っていたと指摘し、「給付水準を維持したままでは、財政悪化により制度自体の破綻も予想された」として、制度改定の必要性を認めたものとなりました。

また、減額の内容や方法、改定手続きも適正だったと指摘し、改めて元教職員側の請求を棄却したものです。

 

過労自殺が労災認定

マツダの社員自殺で賠償命令がでました。


うつ病になり自殺した自動車大手マツダ社員の男性の両親が、会社に計約1億1,000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁姫路支部は2月28日、同社の事後対応による両親の精神的苦痛も認め、計約6,300万円の支払いを命じました。

中村隆次裁判長は判決理由で「自殺直前の労働は質的、量的に過剰で、自殺は業務に起因する」と指摘し、「心身の健康への配慮を怠った」と、マツダの責任を認めたものとなりました。

さらに「葬儀で上司が冗談を言うなどし、両親は二重に精神的苦痛を被った」と認定、原告代理人の弁護士は「事後対応を含めて責任を認定した例は珍しいのではないか」と話しています。

男性の父親(63)は判決後に記者会見し「マツダは『全く責任がない』と自己保身の構えで事実を隠蔽し続けた。判決を真摯に受け止め、謝罪してほしい」と話していたそうです。

 

マツダ広報本部は「当社の主張が一部しか認められなかったことは残念だ」とコメントしています。

判決によると、男性は2006年11月からエンジンのオイルフィルターの購買業務を担当し、取引先との間でトラブルが頻発したが、上司の支援はなく、長時間の残業などが重なりうつ病を発症、07年4月に自殺したものです。

広島中央労働基準監督署は、09年1月自殺は過労が原因として労災認定していました。

 

外国人実習生の過労死認定

中国実習生の過労死が、外国人の過労死としてはじめて認定されました。


外国人研修・技能実習制度で来日し、実習生として茨城県潮来市の金属加工会社フジ電化工業で働いていた中国人の男性(31)が2008年に死亡した問題で、鹿嶋労働基準監督署は12日までに、長時間労働が原因の過労死として労災認定しました。

労働基準監督署によると、外国人実習生の過労死認定は国内初とのことです。

鹿嶋労基署によると、男性は05年に研修生として来日し、同社の金属部品メッキ処理工場に勤務し、08年6月、心不全のため社宅で死亡しました。

亡くなる直前の1カ月の残業時間は100時間を超えていたもので、遺族が09年8月、労災申請したものでした。

遺族側代理人の指宿昭一弁護士は「実習生になった2年目以降、残業は月間150時間に上り、休みは月に2日ほどだけだったとのことです。

同様に働かされ過ぎて亡くなった外国人実習生は全国にいますが、多くが闇に葬り去られているのが現状でした。

問題をめぐって茨城県の麻生区検察は昨年12月、労働基準法違反の罪でフジ電化工業の社長(67)と法人としての会社を略式起訴しました。

麻生簡易裁判所がそれぞれ罰金50万円の略式命令を出し、確定したものです。

起訴状によると、2008年、中国人実習生に違法な時間外労働をさせた上、割増賃金約45万円を支払わなかった内容です。

 

労災認定

TAC元社員を過労死認定。
資格取得支援事業大手のTAC(東京)の経理担当で、昨年3月、急性虚血性心疾患のため35歳で亡くなった男性について、東京労働局中央労働基準監督署が、長時間労働による過労死として労災認定していたと代理人の川人博弁護士が7日明らかにしました。

川人弁護士らによると、男性は入社直後の2009年11月、公認会計士試験に合格、正式に会計士となるための実務補習を週1回程度受けながら、休日出勤や徹夜の仕事をこなし、多い時は月約125時間の時間外労働をしたいたものです。

昨年3月、自宅で倒れ死亡し同12月、労災認定されました。

川人弁護士は「TACは会計士の実務補習制度を熟知しているのに十分な配慮もせず、長時間労働を強いたことを重く受け止めるべきだ」と話しているそうです。

同社IR室は「労災認定は厳粛に受け止める」とコメントしています。

私が社会保険労務士の資格をとったのがこのTACでした。

接客対応がとてもよく、気持ちよく勉強できたことを覚えています。

学び舎でこんな不幸が起こるとは、とても残念です。

退職金支払いの判例

業務時間外の酒気帯び運転を理由に解雇されたセールスドライバーが、運送会社に対して退職金の支払いを求めた事案です。

これは、ヤマト運輸事件(東京地裁 平19.8.27)(労判ダ945号92頁)というもので、概要は以下のとおりです。

 

大手運送会社のY社のセールスドライバーであったAは,業務終了後、飲酒して自家用車を運転中、酒気帯び運転で検挙(免停30日、ただし講習受講により
1日に短縮、罰金20万円)されました。

Y社は、Aが検挙されたこと、およびこの事実をY社に隠していたことを理由に、Aを懲戒解雇しました。
Y社の就業規則では、「業務の内外を問わず飲酒運転及び酒気帯び運転をしたときは懲戒解雇する」と規定されており、退職金支給規程には、「懲戒解雇の
場合は退職金を支給しない。ただし、事情によりその全額または一部を支給することがある」との定めがありました。


このことでAは懲戒解雇の無効を理由に、Y社に対して退職金の支払いを求め、訴訟を提起したものです。

この裁判において、裁判所は、「Y社が大手の貨物自動車運送事業者であり、AがY社のセールスドライバーであることからすれば、Aは交通事故防止に努め、事故につながりやすい飲酒・酒気帯び運転等の違反行為に対して、厳正に対処すべき立場にある。このような違反行為があれば、社会から厳しい批判を受け、これが直ちにY社の社会的評価の低下に結びつき、企業の円滑な運営に支障をきたすおそれがあるので、業務の内外を問うことなく懲戒解雇という最も重い処分をもって臨むという就業規則の規定は交通事故の防止に努力するという企業姿勢を示すためにも必要なものとして肯定され得るものといえる。

そうすると、Aの上記違反行為をもって懲戒解雇とすることも、やむを得ないものとして適法とされるというべきである。」

 

また、「退職金は、賃金の後払いとしての性格を有し、企業が諸々の必要性から一方的、恣意的に退職金請求権を剥奪したりすることはできない。Aは今回の他に懲戒処分を受けた経歴はうかがわれないこと、今回の検挙も罰金刑を受けたのみで事故は起こしていないこと、反省文等から反省の様子を看て取れないわけではないことを考慮すると、Aの行為は、長年の勤続の功労を全く失わせるほどの著しい背信的な事由とはいえない。

 

したがって、就業規則の規定にかかわらず、Aは退職金請求権の一部を失わないと解される。」

 

また、「Aに支給されるべき退職金の額は、少なくともAが受給しえたはずの962万185円の約3分の1である320万円を下ることはないというべきである。なお、この金額は、労働審判において審判委員会が支払いを命じた金額より多いが、調停の成立による解決を優先とする労働審判と本件訴訟における判断とは事情を異にするというべきである。」

として、Aの懲戒解雇を有効としたうえで、Aの退職金の支払い請求を一部容認し、
所定計算額である962万185円の約3分の1である320万円の支払いを命じました。

逆転労災認定

自殺男性の労災、逆転認定。

2005年9月に自殺した食品会社の男性社員の遺族が行った労災申請について、認定を退けた名古屋南労働基準監督署の決定を愛知労働局の労災保険審査官が取り消したことが8月31日、遺族側代理人への取材で分かりました。

過剰な業務やノルマが自殺につながったとし、労災認定したのものです。

代理人によると、男性は愛知県の営業所に勤務し、自殺の数カ月前からスーパーでの試食販売など不慣れな作業を命じられ、月約75〜130時間の時間外労働が続いたものです。

自殺した月は前月より約400万円多い約1,100万円の売り上げノルマを課せられていたそうです。

男性は長野県で橋から川に飛び降り自殺し、遺族が08年7月に労働基準監督署に労災認定を求めたものでした。

労働基準監督署の労災認定に不服の場合は、本人や遺族は労働保険審査官に審査を求めることができます。

 

添乗員にみなし労働不適用

添乗員にみなし労働不適用との判決がでました。


阪急トラベルサポートが「事業場外みなし労働制」の適用を理由に残業代を支給しなかったとして、派遣添乗員の女性が未払い分に付加金を上乗せした計約110万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁の鈴木拓児裁判官は11日、請求を全面的に認めました。

事業場外みなし労働制は労働基準法で定められ、会社の指揮・監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなされる制度です。

判決理由で裁判官は「阪急トラベルサポートは、派遣添乗員にマニュアルで業務を詳細に指示してツアーを管理し、モーニングコールで遅刻を防ぐ措置なども講じており、労働時間は把握可能だ」と指摘しており、制度の適用条件を満たしていないと結論付けた模様です。

その上で「派遣添乗員には制度が適用されないとする労働基準監督署の指導にも従わず、過去の割増賃金を支払う姿勢がない」と阪急トラベルサポートを非難し、労働基準法の規定に基づき、悪質なケースに当たるとして未払い分約56万円と同額の付加金も認定しました。

判決によると、阪急トラベルサポートは2007年3月から2008年1月まで事業場外みなし労働制の適用を理由に残業代を支払わなかったものです。

携帯電話が普及した昨今では、「みなし労働」という考え方自体が出来にくくなってきています。 


 

不当労働行為再審査事件

東急バスで実際に起こった事件です。

会社が組合員13名に対して、他の乗務員と差別して残業の割当てを支給したことなどが不当労働行為であるとして救済申立てがありました。

この事件の再審査について、中央労働委員会は1月28日、組合員9名に対する残業割当てが差別的であり、不利益取扱い及び支配介入の不当労働行為に該当するとし、会社に対し将来にわたる残業差別の禁止を命じるとともに、過去の残業差別による不利益を救済するため、組合員8名に対するバックペイを命じました。

自宅作業も労災認定

自宅作業も業務と労災認定と認められた判例です。
2000年11月に心臓疾患で死亡した日本マクドナルドの男性社員の遺族が、労災と認めなかった処分は不当として国に取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は今月18日、「発症は業務が原因」として、請求通り処分を取り消しました。

渡辺弘裁判長は判決理由で、男性の時間外労働が、発症前の1カ月間で少なくとも約79時間あったとしたほか、自宅でのパソコン作業なども業務に当たると判断、「強い業務の負荷に長期間さらされ、疲労の蓄積や過労が心臓の異常を引き起こした可能性が極めて高い」と指摘しました。

判決によると、男性は大学卒業後の1999年4月に入社し、2000年11月、川崎市内の店舗に出勤した直後に倒れ、病院に運ばれたが急性心機能不全で死亡しました。

遺族は川崎南労働基準監督署などに労災を申請したが「業務起因性が明らかではない」と退けられていた模様です。

労災認定の要因は業務起因性業務遂行性が見られます。「業務上」「業務によるものである」というはっきりとした根拠が労災認定の鍵になります。

労働者側が逆転敗訴

日本通運社員側が逆転敗訴となる裁判が行われました。
関連会社から親会社に移籍する際、口頭で従来の賃金を保障すると約束したのに減額されたとして社員ら4人が日本通運(東京)に差額の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高等裁判所は16日、日本通運に計約2,400万円の支払いを命じた一審大阪地裁判決を取り消し、社員側の請求を棄却しました。

判決理由で岩田好二裁判長は「賃金のように最重要の労働条件について実際と異なる説明をした場合、入社後の労使関係に重大な悪影響を及ぼすおそれもあるから、細心の注意を払ったと推測される」と指摘しました。「同額保障を約束したとは認められない」と結論づけました。

判決によると、4人は大阪府内の日通関連会社で宅配便の集配業務に従事していました。組織改編により2000年4月に日本通運に移籍した模様です。

 

解雇無効の判例

旧グッドウィルグループの派遣大手ラディアホールディングスの子会社「テクノプロ・エンジニアリング」(東京)を解雇された神奈川県横須賀市の男性が、同社に賃金支払いなどを求めた仮処分申請で、横浜地裁は7日、解雇は無効として、賃金分として月約30万円の支払いを命じる決定をしました。

ラディアは業績が悪化し、今年4月にグループ全体で正社員4,500人を解雇した模様。地裁は決定理由で「解雇を避ける努力を尽くしたとは認められず、人員削減の必要性がどの程度あったかも明らかでない」と指摘しました。

決定によると、男性は1996年から同社社員としてメーカー工場に派遣されて働き、今年4月末に解雇されました。

同社は決定についてコメントしていない模様です。今後の動向を見守りたいと思います。

55年ぶり判例変更

公務員もリコール請求可能?

高知県東洋町議のリコール(解職請求)をめぐり、公務員の農業委員が請求代表者として集めた署名の有効性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁判所大法廷は18日、判例を55年ぶりに変更し「公務員が請求代表者になることを禁じた地方自治法施行令の規定は無効」との判断を示しました。

 

その上で「農業委員が代表者の1人として集めた署名は無効」とした高知地裁判決を破棄、有効と訴えていた原告住民の請求通り、町選管決定を取り消しました。

 

竹崎裁判長は、地方自治法上の解職手続きは「請求時」と「投票時」の2段階に分かれ、公務員が代表者になれないとの資格制限は投票段階に関する規定だと指摘しました。請求段階にまで適用した施行令は無効と判断しました。

 

一方で「請求段階でも資格制限するなら、法律に基づき明確に規定することが望ましい」とも言及し、資格制限の是非自体は判断しなかった模様です。

 

判決は15人の裁判官のうち12人の多数意見で、政令を違法で無効とする最高裁判決は5件目となっています。

1954年の最高裁判決や行政実務は、施行令に基づき公務員が代表者になれないとしてきました。18日の判決によって、ほとんどの公務員が議員解職の請求代表者になれることになりましたが、反対意見で竹内行夫裁判官は「公務員が中立義務に反して地位を利用し、解職請求の主導者となれないとするのが合理的な解釈だ」と述べました。

判決によると、住民有志は町議のリコール運動を展開、昨年4月に1,124人分の署名を町選管に提出したが、選管は請求代表者6人のうち農業委員1人が含まれているとして、署名を無効と判断し、住民側は異議を申し立てましたが、棄却した経緯がありました。

今回のようなリコール手続きなどの訴訟で地裁判決に不服があれば、最高裁に上告する規定となっています。

管理監督者と認められない場合

管理監督者と認められない場合

  • 日本マクドナルド事件

店長はアルバイト従業員の採用、人事考課、アシスタントマネージャーの一次評価、時間外協定の当事者資格、店舗従業員の勤務シフトの決定、次年度損益計画の作成、販売促進活動の実施、一定額までの支出決裁権等の権限は有するが、営業時間の設定、独自メニューの開発、仕入先の選定、価格設定等の権限は有せず、店長会議等への参加はするが、経営方針等の決定に店長が関与するというものではなく、シフトマネージャーが不足する場合は、結局店長が出勤せざるをえないことから、勤務時間に関する自由裁量があったとは認めれらず、処遇についても下位のファーストアシスタントマネージャーとの明らかな差は無く、労働時間の適用が排除される管理監督者に対する待遇として十分とは言いがたく、結局、労務管理に関して、経営者と一体的な立場にある管理監督者とはいい難い。(H20.1.28 東京地裁) 

 

  • 岡部製作所事件

プラスティック成形加工会社に25年勤務し、営業開発部長として会社の主たる顧客であるA社の開発部門と協力して製品開発業務を行い、管理職手当として11万円の定額支給を受けているが、会社への経営参画状況は極めて限定的であり、常時部下がいて当該部下の人事権なり管理権を掌握しているわけでもなく、原告の職務は社内で養ってきた知識、経験及び人脈等を動員して一人でやりくりする専門的な色彩の強い業務であること、勤務時間も一般の従業員に近く、自由に決定できるものではないことから、管理監督者に該当しない。(H18.5.26 東京地裁判決) 

管理監督者と認められる場合

管理監督者と認められる場合

  •  日本ファースト証券事件

支店長は、30名以上の部下を統括する地位にあり、会社全体から見ても、事業経営上重要な職責にあったこと、大阪支社の経営方針を定め、部下を管理指導する権限を有しており、中途採用者については実質的に採否を決する権限が与えられていたこと、人事考査を行い、係長以上の人事について破原告の最良で決することができ、社員の降格や昇格についても相当な影響力を有していたこと等から、管理監督者に該当する。(H20.2.8大阪地裁判決)

  • 姪浜タクシー事件

タクシー会社の営業部次長は、終業点呼や出庫点呼を通じて多数の乗務員を直接に指導・監督する立場にあったこと、乗務員の募集について面接に携わり採否に重要な役割を果たしていること、出退勤時間は多忙な為、自由になる時間が少なかったと認められるものの、連絡だけで直帰できるなど特段の制限を受けていたとは認められないこと、700万円の高額な報酬を得ており、従業員中最高額であること経営協議会のメンバーであったこと等を考慮すると、管理監督者に該当する。  (H19.4.26 福岡地裁判決)