東京電力が、年俸制の導入など能力主義の徹底を柱とする新たな人事制度を、労働組合に提案したことが24日、明らかになりました。
2013年4月に導入する方針です。
社員の意欲を高めるのが狙いで、優れた社員を早期に昇進させるほか、個人の実績により給与や等級に差をつける制度に改めることが主な内容だそうです。
労組に提案した新人事制度は、一般社員の等級を従来の5段階から4段階に変更し、年齢ではなく実績や能力に応じて昇格させるものです。
管理職になる年齢は、従来は早くても40歳前後でしたが、新制度の下では30代半ばでの昇格も可能になるようです。
給与面では、今年12月に年俸制をスタートさせ、賞与を廃止するものです。
中高年層の平均年収を抑える一方、若手社員では引き上げて、若手を中心に増加している退職者の抑制を図ります。
等級や査定内容により、社員の年収の格差は40歳時点で従来の倍となる350万円程度に拡大するものだそうです。
東電は、今春に策定した総合特別事業計画で、一般社員の給与を福島第1原発事故前より2割削減した水準に据え置く方針を明記しています。
現在、東電は経営改革に取り組んでいますが、待遇が悪化する状況で社員の労働意欲を維持するには、「改革を積極的に進める社員を処遇することが大事だ」と判断し、人事制度の刷新を図ることにしたそうです。
ひところもてはやされた、年棒制と能力主義。
日本企業には、うまく定着しなかったこの制度を、今、東京電力が採用するのは、きっと勝算あってのことでしょう。
今後の動向が気になるところです。