財務省が25日発表した、2011年の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、2兆4927億円の赤字となりました。
貿易赤字転落は、第2次石油危機後の1980年以来、31年ぶりで、赤字幅は80年に次ぐ過去2番目の大きさとなりました。
東日本大震災や円高の影響で輸出が落ち込む一方、東京電力福島第1原発事故後の全国的な原発停止の影響で、火力発電用の燃料輸入が急増したことが大きな要因と考えられています。
ただ、モノやサービス取引の全体像を示す経常収支は、海外子会社などからの利子・配当収入である所得収支の黒字が穴埋めし、前年比マイナスながら10兆円弱の黒字を確保したもようです。
11年の輸出額は、前年比2.7%減の65兆5547億円と2年ぶりに減少となり、大震災や円高に加え、タイの洪水による部品不足も逆風となり、自動車が10.6%減、半導体など電子部品が14.2%減と大きく落ち込んだものとなりました。
一方、輸入額は、12.0%増の68兆474億円と大幅に増加となり、福島第1の事故後、定期検査入りした国内各地の原発は再稼働できない状況が続いており、これを補う火力発電燃料の輸入額が急増したのが主で、液化天然ガス(LNG)は37.5%増、原粗油は21.3%増となりました。