経済産業省が1日発表した急激な円高による国内産業への影響調査によりますと、1ドル=76円程度の円高水準が半年間継続した場合、大企業製造業の46%が製造・研究開発拠点を海外に移転させる考えを示しました。
日本の成長力を低下させかねない産業空洞化のリスクが、改めて浮き彫りになった格好で、政府は今後本格化させる第3次補正予算案の編成作業で、抜本的対策を迫られそうです。
調査は、大企業製造業61社と中小企業93社を対象に8月に実施しました。円高が長期化した場合の対応としては、大企業製造業では海外移転のほか、「経営努力によるコスト削減」、「原材料」や「部品」の海外調達の増加などとなっています。
中小企業では「海外生産比率の増加」を挙げたところが28%で、中小企業でも海外シフトを加速する考えのところが少なくないものとなっています。
1ドル=76円の円高水準が続いた場合の企業業績への影響では、大企業、中小企業のいずれも約8割が営業利益の減少を見込み、20%以上の大幅減益になるとの回答も3割超に達しました。
恩恵よりも、損失の方が目立ったものとなっている今の円高状況ですが、労働移動により、国内の失業率が上がることだけは避けなければならないことです。