菅政権が検討している新しい年金制度は、
新設される「最低保障年金は現役時代の平均年収が600万円以下の人」を対象にすることになりました。
民主党と厚生労働省は、最終調整し6月末に菅政権がまとめる消費増税と社会保障の一体改革に盛り込まれる方向です。
民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」では、月額7万円の満額を支給するのは、現役時代の平均年収が300万円以下と限定し、年収がそれを超えると減額し、600万円超で支給額をゼロとする方針を固めました。
最低保障年金は、民主党が2003年のマニフェストから考え方を打ち出しているもので、年金改革の柱になるものです。
現行の基礎年金の満額月6万6千円は、加入者だけが対象で、財源は税と保険料で折半する仕組みです。
一方、最低保障年金はすべて税金を財源とし、ほとんど収入がなかった人も含む低所得者に支給するため、年収300万円超の所得層の多くは年金支給額が減る見通しです。
財源は、現在の基礎年金より5兆円程度多く必要です。
新年金制度は、2015年度の移行開始を目指し、当面は現行制度の見直しから着手し、徐々に移行させていくため、新制度が完成して月額7万円の最低保障年金が支給されるのは開始から40年後になるものです。
そのため、民主党の調査会は議論を封印し、制度設計の先送りも検討していますが、年金の具体案を示さないと与野党協議の実現がさらに難しくなるため、近く具体案をまとめることしました。