イスラム原理主義とは、イスラム的な政治・国家・社会の実現を目指して行われる政治活動や諸運動やその思想の事を指します。
世俗法ではなくイスラム法(シャリーア)によって統治されるイスラム国家の建設を目指す政治活動や諸運動のことで、本来はイスラム主義と同義でありますが、イスラム過激派もイスラム主義に基づいて行動しているので、特に非イスラム教国においてイスラム主義を否定的な意味合いで言及する場合に多用される呼び名です。
一般に認識されている「イスラム原理主義」という言葉は、、ムハンマドの時代のイスラム共同体を復興させようとする運動のことで、イスラム法に基づく社会の実現を目指しているため、近代的価値観や西洋的価値観の流入への抵抗運動としての側面もあります。
また、「イスラム原理主義」は日本を含む非イスラム教徒の間では「他宗教や無宗教、無神論に対する凄まじい憎悪を持つ過激で暴力的な思想」としても認識されている場合があり、実際にムスリムの中には「イスラム以外の宗教や無神論、無宗教は皆間違い、地獄に落ちる」などという主張も存在します。
また「イスラム原理主義」の呼称は、キリスト教における原理主義 の「イスラム版」という意味合いで、欧米の学者が用いたものであることから、日本語にそのまま適用するのは不適切とする説もある。
イスラム原理主義という日本語表現は、本来は、イラン革命などのイスラム法による統治の復活を唱えるイスラム教徒による運動を指してアメリカなどで英語で呼んだものの日本語訳です。
イスラム教における宗教的な理念に基づく社会の実現を目指す運動は、イスラム教の共同体を原初の理想的な姿に回帰させることを志向しており、この点において、「千年王国」を強く意識したメシア信仰に基づく根本主義とは異なるものとなっています。