雇用保険のなぜ?
最近、お客様より多い、質問の1つに、
賞与から雇用保険料を控除するのに、何故失業給付に反映されないのか?というのがあります。
雇用保険の失業給付計算の基礎となる基本手当日額を算出する際に、賞与支給額を含まないのは確かに不自然のように思えますが、賞与が失業給付の計算対象外ではないという点について、実は、昭和60年までは賞与も含めて失業給付の額を計算していました。
当時の問題点として、月例の給与と比べて賞与の額は、会社の規模や業種によって差が大きく、このことによる格差が生じてきたこと、また高額の賞与を貰ってすぐに 退職した場合に退職前の給与より多い額の失業給付を受けとってしまう ケースがあるなどの問題から、計算の対象から除外されることになったのです。
では、なぜ賞与から雇用保険料を控除するのかということですが、 仮に賞与にかかる保険料を除外して、現在の給付を維持しようとすると、 賞与にかかっていた保険料を、月例の給与にかかる雇用保険料から徴収せざるを得なくなります。
このことは結果的に、比較的賞与の占める割合の低い、中小零細企業やその従業員である被保険者に対する負担が割合として重くのし掛かることになってしまいます。
このため、現在は、給付の計算の対象とならない賞与からも引き続き保険料を徴収しているわけです。
一見おかしな仕組みに思えますが、公的保険は相互扶助精神のしくみで成り立っているところがありご理解いただければと思います。