医学の進歩には欠かせない指針が作られました。
医学の教育・研究のために、提供された遺体(献体)を、医学生の解剖実習だけでなく医師の手術訓練にも使うための指針を、日本外科学会と日本解剖学会が作りました。
外国では、医師の技術の向上のために広く遺体が使われていますが、日本では、今まで指針がありませんでした。
近年、内視鏡の画像を見ながら細かい作業をするような難しい手術が増えており、脳血管や耳など構造が複雑な部分の手術は、模型や動物を使った訓練では技術を習得しにくく、実際の人体を使って技術を学ぶ必要性が高まっているとの声が高まっています。
しかし、解剖の目的や実施方法を規定している「死体解剖保存法」には、手術の訓練に遺体を使うときの明確なルールがありませんでした。
このため「刑法の死体損壊罪に問われかねない」との考えもあり、医師は献体を使うことをためらってきた経緯がありました。
今後は、この指針に基づいて、さらなる研究が進み、医学の発展に寄与することでしょう。
(2012/8/21 16:36)