チロルチョコ(本社・東京)の商品の一部で、製造が間に合わずに発売中止などの事態が生じています。
東日本大震災の影響などで、製造工場(福岡県田川市)の人員を確保できなかったのが主な原因です。
売り場から商品が消えた店も出るなど、2月14日のバレンタインデーを前にして「創業以来の異常事態」に同社は、「取引先、お客様に申し訳ない」と平謝りだそうです。
チロルチョコは、今年で発売から50年を迎えるロングセラー商品です。
レギュラーサイズは一口サイズで1個20円と手ごろなため、今も根強い人気があります。
発売中止は、多種類詰まった「バラエティパック」やバレンタイン向けなどの、複数のチョコレート製品です。
同社は毎年製造のピークの12月頃にアルバイトを募って増産体制に入りますが、今年は大震災の影響で、他の製造業が西日本の工場の生産態勢を例年よりも増強したことにあります。
九州でも自動車生産工場など製造業で、アルバイト募集数を例年より増やしており、「賃金など条件面で劣る当社では前年並みの人数が確保できなかった」とコメントしています。
また、多様多品種に対応する生産ラインに対応できなくなったのも原因の一つだそうです。
同社は、チロルチョコを生み出した松尾製菓(福岡県田川市)から04年に分社化しました。
チロルブランドのチョコは年間約9億個を出荷している業界のロングラン商品です。
みんなが一度は口にしてことがある、大ヒット商品ですが、ここでも震災の影響がみられます。
子や孫の代までの社会保障体制を作ることも大切ですが、目の前の実体経済にも目を向けないと、復活の芽を削いでしまうことになり兼ねません。
(2012/1/14 13:16)