なぜ、停車中の列車に後続列車が突っ込んだのでしょうか。
中国高速鉄道の脱線落下事故で、中国当局は落雷による「天災」を強調していますが、管理や運行のミスによる「人災」を疑う声も高まっています。
最大の謎は、ATC(自動列車制御装置)がなぜ作動しなかったのか、ということです。
高速鉄道には、前方列車との間隔などの異常を察知し、自動的に車両を減速、停止させる仕組みが付いています。
中国鉄道省は「落雷が故障を引き起こした」と強調していますが、国内外の専門家は「鉄道には避雷装置があり、雷を逃がす仕組みになっている」と疑問の声があがっています。
避雷装置が機能しなければ平原を走る路線が多い中国は、落雷の危険は常にあるといえ、システムを改善しないと同様の事故が今後多発することが懸念されます。
ちなみに日本では、ATCが故障すれば一帯の列車はすべて止まり、日本政府の高官からは「ATCを切って手動で走っていたのではないか」との見方すら出ているとのことです。
また、当日の運行ダイヤの乱れも注目されています。
時刻表だと、追突したD301号が温州南駅に到着するのは追突されたD3115号より15分早い予定で、本来は前を走るはずだったとみられ、遅れを取り戻すため、通常と異なる運行を迫られていた可能性があるとの指摘があります。
また、乗客の証言で、D301号は減速しないまま突っ込んだ疑いが強まっています。
信号が故障していたにしても、異常を察知できなかったのでしょうか。
香港メディアからは「運転手は居眠りをしていたのではないか」との声さえ出始めています。
大事故を起こしたにもかかわらず、車両検証もせずに現場近くに埋めるなんて日本の常識では到底考えられません。
何事もなかったように、今もこの高速鉄道が走っていると考えると、おぞましい限りです。
(2011/7/26 10:01)