東京電力が福島第1原発事故の賠償費用を捻出する合理化策として、保養施設27カ所を全て売却する方針を固めたことが19日、明らかになりました。
また、冷暖房や給湯などを電気で賄う「オール電化」や住宅関連、他の企業のデータ管理をはじめとする情報通信といった新規事業も大幅に整理し、関連会社の売却や東電出資分の譲渡を進める方向です。
中核である電力供給を除く事業を圧縮して、スリム化努力を強調するものです。
同社は20日、2011年3月期決算発表と同時に経営合理化策も公表し、被災者への賠償支払いへの取り組みを加速させる考えを表明しました。
売却対象の保養所は、静岡県熱海市などリゾート地の保養所、都内や千葉県内のグラウンド、体育館。社員寮などの施設やグループ企業、有価証券についても、売却の方針を示す見通しです。
一方、東電首脳は19日夜、同社が力を入れてきた「オール電化」事業について「電力需給が逼迫しており、積極的に進めることはできない」と述べ、電力供給に余裕がない環境で、圧縮はやむを得ないとの認識を示したものとなりました。
合理化策に合わせて公表する組織再編で、「オール電化」を所管する「販売営業本部」や、新規事業を強化するために昨年12月に新設した「グループ事業推進部」について、名称変更や人員配置の見直しを打ち出すことになりました。
オール電化による自家発電を推進するのではなく、オール電化という機能そのものを廃止するこの方針転換は、オール電化住宅を購入した人たちへ、どう説明するのでしょう。
うちの老いた母は、数年前実家をオール電化にして、安心を購入しました。
(2011/05/23 12:36)