中国で労使紛争が多発しています。

ストライキが起きたのは、沿岸部を中心に日系企業を含む外資系メーカー工場などで、5月中旬のストで南海ホンダなど複数の自動車部品工場が操業停止にまで追い込まれました。

この余波はトヨタ系の部品工場、さらには電子部品工場や物流、スーパー・小売など他業種にも飛び火し、相次ぐ労働争議で中国に進出する外資系企業は不安の渦に巻き込まれています。

 

ストライキが発生したのは広東省南海に位置するホンダ自動車部品工場で、ホンダの中国における全額出資の子会社です。

広東省南海に位置するホンダ自動車部品工場場の一部労働者が賃金問題に関して「待遇が低すぎる」など不満を述べていたもので、次第に人が集まり100名余りの労働者が、工場の敷地内の運動場で座り込むなどしてストライキを始めました。

その後も参加者は増え続け、150名程度の労働者が座り込みに参加したものです。

彼らの要求は、現在の賃金をもとにさらに800元の基本給を上乗せすることでした。

会社側は事態の打開を図り、一週間後に回答することを約束したため、座り込みは一旦終息し、従業員の賃金アップの要求に対して、当初経営側が提示した案は、職能賃金から一部を取り出して基本給に算入するというものでした。

 

しかし、これでは実質的な賃金増にはならないため、労働者はこの案に同意しなかったので、会社側の再提示は「賃金を上げることはできないが、食費を50元アップする」としたものでしたが、労働者はこれにも満足せず、事態は二回目のストライキへと発展しました。


この動きはさらに他工場へも伝播していき、増城と黄埔の工場が生産を停止となり、その後は湖北省武漢の工場も生産停止になりました。

南海ホンダは新たな案として各従業員に対して、320元の賃金アップを行いましたが、この提案も不満として拒否されました。

その後労働組合、労働保障部門各レベルの調整を経て、南海ホンダは正規従業員の最低賃金をそれまでの水準から366元(24%)引き上げる案を打ち出して、ストは終結し、労使紛争による生産停止に追い込まれた南海ホンダは当日より生産を再開したものでした。


ストライキの背景は何だったのでしょうか。

中国の最低賃金は全国統一のものではなく、省・自治区・直轄市の地方政府がそれぞれが定めるものとなっています。

昨年は経済危機の影響から賃金引上げが全国的に見送られましたが、今年はその分大幅な引き上げが相次いでいました。

広東省の賃金引上げもこうした動きに呼応したものといえます。

 

さらに今回の紛争では、中国人従業員と日本人従業員の賃金待遇の差が極めて大きいとの情報が一部で流され、これが労働者の不満に一層拍車をかけたとの見方もあります。

先進国駐在員と現地従業員間の報酬格差は以前から存在するものであり、これまで特に問題視されることはありませんでした。

これには中国人労働者の権利意識の変化があげられることでしょう。

 

中国では2008年、二つの重要な労働関係の法律が施行されました。一つは「労働契約法」であり、もう一つが「労働紛争調停法」です。

この2法が施行されて以降、労使紛争の訴えが行政や裁判所に受理される件数は急増しているとのことです。

紛争の中身は残業代など賃金の未払いや社会保険料の未納などが多いですが、個別労働紛争の受理件数は、07年からの1年間で約2倍に増加しました。

中国労働者の権利意識は、次第に高まっているものといえます。

もの言わぬ労働者はもの言う労働者に変貌しつつあるということです。

(2010/9/1 13:07)

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