国土交通省は22日、日本航空の企業年金の支給額を強制的に減額する特別立法の法案提出を見送る方針を固めました。日本航空がOBを対象に行った意向調査で、年金減額への同意が全体の3分の2に迫る水準となったほか、財務省が日本政策投資銀行のつなぎ融資(1000億円)への政府保証を行わない方針を決めたことで、特別立法の必要性が薄れたと判断した模様です。
日本航空は年金・退職金債務の積み立て不足が3042億円あり、公的資金投入の前提として、企業年金の支給額減額で債務を圧縮したい考えですが、確定給付企業年金法の施行規則では全受給者の3分の2以上の同意がないと実施できないため、国交省は強制的に減額できる特別立法を検討していました。
しかし、先月28日から今月15日までOB約8800人を対象に行った意向調査では、OB全体の約65%(約5700人)が減額に同意すると回答。年金債務の圧縮に必要な同意である3分の2(約5800人)に迫り、同意取得の可能性が高まったものです。
年金の強制減額は憲法で保障された財産権を侵害するとの指摘もあり、国交省内部では「強制減額を法案に盛り込まないかもしれない」との見方が出ていました。
今後も日本航空関連の話題は目が離せない状況です。(2009/12/22 20:09)