有線最大手USEN(東京)の関連会社に一斉転職した競合社キャンシステム(東京)の元従業員約300人が、会社側に退職金を求めた訴訟の判決で、東京地裁は今月28日、25人以外の請求を棄却しました。裁判長は「全国規模で一斉退職すれば、会社の業務が完全に麻痺・停止すると認識しながら、あえて示し合わせて退職届を出しており、会社への著しい背信的行為だ」と指摘。従業員らを懲戒解雇としたキャンシステム社の処分は有効として、退職金を支払う必要はないとした見解が出されました。
25人については「大半の原告が一斉退職した後の退職で、会社が大混乱に陥る中、今のうちに少しでも待遇の良い会社へ移ろうと考えて退職しても責めることはできない」として、計約1,800万円の退職金を支払うよう命じました。判決によると、USEN関連会社は、キャンシステム社を退職した元役員が2003年7月に設立。直後にキャンシステム社従業員の約3分の1に当たる約500人も移った経緯がありました。
キャンシステム社がUSENに対し「大量退職などの違法行為で顧客を奪われた」として損害賠償を求めた別の訴訟では、東京地裁が昨年12月、USENに約20億円の支払いを命じ、現在東京高裁で係争中となっています。(2009/11/1 12:28)