賃金請求権の消滅時効を「3年間」に改める労基法改正を建議中です。
労働政策審議会は12月27日、労働基準法115条で定める賃金債権の消滅時効を現行の「2年間」から「3年間」に改める法改正を加藤厚生労働大臣に建議しました。
本年4月から施行される改正民法の規定により、一般債権に関する消滅時効は、
①権利行使できることを知った時から5年間、
②権利を行使できる時から10年間
に改められ、現在の労基法115条の根拠となった使用人給料の短期消滅時効(1年間)は廃止されることとなっています。
この改正に合わせ、賃金債権に係る消滅時効の在り方について、厚生労働省では2017年12月から2019年7月まで専門家による検討会で議論を進め、そこでの論点を踏まえて労政審での審議を進めてきました。
その結果に基づく今回の建議では、労働者の権利保護の必要性等を総合的に勘案し、次のように現行法を改正すべきとしています。
・賃金請求権の消滅時効期間は、民法一部改正法による使用人の給料を含めた短期消滅時効廃止後の契約上の債権の消滅時効期間とのバランスも踏まえ5年とする。
・起算点は、現行の労基法の解釈・運用を踏襲するため、客観的起算点を維持し、これを労基法上明記する。
(ただし、直ちに長期間の消滅時効を定めることは労使の権利関係を不安定化する恐れがあるため、慎重な検討が必要)と指摘し、その上で法改正について、当分の間、労基法109条が定める記録書類の保存期間に合わせて消滅時効を「3年間」とし、改正法の施行から5年経過後の状況を勘案して検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講じるべきと結論づけています。
また、建議では併せて、賃金請求権以外の退職手当請求権(現行5年間)、年次有給休暇請求権(現行2年間)、災害補償請求権(現行2年間)については現行規定の消滅時効を維持すべきとしています。
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