副業・兼業のいま
副業・兼業の労働時間管理の在り方に関する検討会報告書案の公表について、
厚生労働省は、7月9日、副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会の報告書案を公表しました。
働き方改革の1つとされる副業・兼業の推進ですが、認めない企業も依然として少なくありません。
同案によれば、企業は、副業・兼業を認めた場合の労働時間管理と健康管理に関する問題等を理由に制限している実態があることから、課題解決のための方向性として、次のような案を示しています。
【健康管理】
案①労働者の自己申告により把握した通算労働時間などを勘案し、当該労働者との面談、労働時間の短縮その他の健康確保措置を講ずる配慮義務を設ける。
案②労働者の自己申告により把握した通算労働時間の法定外労働時間が1月当たり80時間を超えている場合(休憩時間を除く)、労働時間の短縮措置等を講ずるほか、自らの事業場における措置のみで対応が困難な場合は、副業・兼業先との相談その他適切な措置を求めることを義務付け、また当該労働者の申出を前提に医師の面接指導その他の適切な措置も講ずる。
【時間外労働の上限規制】
案①労働者の自己申告を前提に、月単位などの長い期間で副業・兼業の上限時間を設定し、各事業主の下での労働時間をあらかじめ設定した時間内で収める等、通算して管理することが容易となる方法を設ける。
案②事業主ごとに上限規制を適用することとするが、通算した労働時間の状況を前提に適切な健康確保措置を講ずる。
【割増賃金】
案①労働者の自己申告を前提に、他の事業場の週や月単位などの所定労働時間のみを前提として、自社における所定労働時間と通算し、割増賃金の支払いは、通算した労働時間が法定労働時間を超えた場合の自社における所定外労働時間を対象にする等、通算して割増賃金を支払いやすく、かつ時間外労働の抑制効果も期待できる方法を設ける。
案②各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務付ける。
【他の事業主の下での労働時間の把握方法】
労働者のプライバシーへの配慮やHRテクノロジーの普及状況等に鑑みると、労働者の自己申告が基本となると考えられるが、労働者の同意もあり、事業主間でのやり取りでできる場合には、それを妨げるものではないと考えられる。
報告書は月内にもまとめられ、今秋以降、労働政策審議会での議論が始まる見通しとなっています。