70歳超
年金受給にも、いよいよ高齢化の波が押し寄せてきています。
高齢化に対応する社会づくりを議論している内閣府の有識者検討会は、12日、公的年金の受給開始年齢を70歳より後にできる仕組みづくりを盛り込んだ提言の骨子案をまとめました。
政府は、この提言をもとに年内に中長期的な高齢者施策の指針となる「高齢社会対策大綱」の改定案を閣議決定する見込みで、導入の是非をめぐって今後の議論の種となりそうです。
年金の受給開始年齢は、原則65歳ですが、現在は60〜70歳の間で開始年齢を選ぶことができます。
早く受給すれば、65歳から受給するより受給額が最大で30%減り、逆に遅く受給すれば、最大42%増えるしくみです。
骨子案では、高齢者にも高い働く意欲がみられる現状があるとした上で、「繰り下げを70歳以降も可能とするなど、より使いやすい制度とするための検討を行ってはどうか」と記されました。
具体的な年齢は盛り込まれませんでしたが、7月の検討会では、委員の1人から75歳まで延ばしてもいいとの意見が出たようです。受給開始を選べる年齢の引き上げをめぐっては、2014年に田村憲久厚生労働相(当時)が75歳程度まで引き上げることを検討すると発言しましたが、具体的な議論には至りませんでした。
また、15年度に国民年金だけを受給した人らのうち、65歳より引き上げたのは1・4%にとどまるものでした。ただ、少子高齢化で労働力人口が減る中、政府は多くの高齢者に働き続けてもらいたい考えで、自民党の「一億総活躍推進本部」が5月にまとめた提言にも、年齢引き上げが入り、今回は議論が本格化する可能性があるようです。
骨子案では、ほかに高齢者の資産を日本の経済成長につなげる方法の導入も盛り込まれました。
先進技術開発をする若者が、高齢者の保有する金融資産を活用し、「さらなる資産を生み出す構造を作る」などとしたようです。