どうする!退職金
毎年、春はこの相談が多いので、今日は、
「退職金の受け取り方法」について、考えてみましょう。
一般に、会社員の退職金の受け取り方法は、
「一時金のみ」、「一時金+一部を年金」、「すべて年金」 などのパターンがありますが、これらのパターンを選択できるかどうかは、勤務先により異なります。
「年金」を選択すると、退職金原資が受け取り期間中も引き続き運用されるため、受け取り総額は「一時金」よりも多くなるのが一般的です。
運用率は、企業によって異なりますが、最近は1〜2%程度のようです。
マイナス金利政策の状況下では、銀行の定期預金に比べてはるかに魅力的に映るため、選択の自由があるなら「年金」で受け取りたいと考える人が多いようです。
例えば、勤続38年の人が退職金2000万円をすべて一時金で受け取ると、手取り額は2000万円となりますが、退職金一時金の課税方法は、勤続年数に応じた「退職所得控除」というみなし経費を差し引くことができるうえ、他の所得と分けて税金計算をするので、他の所得に比べて、納税者に有利な計算方法になります。
勤続38年だと、退職所得控除が2060万円になるため、所得税・住民税はかからず、「額面」がそのまま「手取り」となる計算となります。
一方、運用率2%の「10年確定年金」を選択すると、60歳から69歳までの年金額は約221万円となり、10年間の受け取り総額は約2210万円となるので、単純には一時金よりも年金のほうが得に見えます。
大多数の退職者は、「自分で2%の運用はできない」と考えるのが一般的なので、年金受け取りが得であると判断するのは正しいように思えます。
しかし、退職金の「年金受け取り」は雑所得として給与や公的年金と合算して課税されるため、所得税・住民税はもちろんのこと、国民健康保険料や介護保険料も課税対象となります。
必ずしも「年金」が得だ! とも言い切れないのがお分かりかと思いますので、
ひとりひとりのライフプランや諸事情を考慮して判断するのが本当の得策だと思います。